苫の調子が悪くなり始めたのは昨年12月のはじめでした。
食べなくなり、日がな一日、ホットカーペットの上の箱の中でじっとしている事に気がつき、
榊原さんのところで点滴をしてもらって2〜3日回復し、そしてまたグタっとしてしまう、というのを
数回繰り返していました。
あまりに調子が悪そうなので、暖めてやろうと、電気あんかやオイルヒータ完備の豪華病室(サトコの部屋)に
いれてやったその晩、トイレに行く気力もなく布団の上でオシッコをしたんです。
こりゃ相当悪いなと思い、(猫がトイレを使わないのはかなりいっちゃってますからね)
主治医の春くんにメールをしたところ、「うちの病院で集中治療をしよう」と言ってくれました。
翌日、母さんとテルは久が原へ、父さんとサトコで野田まで苫を車に乗せて連れて行きました。
「いろいろ検査してみるよ。」という春くんに苫を預け、「やれやれ、これで一安心」と帰宅しました。
その夜、4人で中華を食べに出かけたとき、春くんから電話がありました。
「結論から言うと、苫は白血病だった。 今日か明日かってくらいに悪い。 病院じゃもうなにもできることはないから、明日の夜連れて帰る。」
さぁて、翌日から戦いが始まりました。
苫と母さんの。 具合が悪いので食欲がなく、「ほっといてよ!」の一点張りの苫に対して、
母さんが無理やり口をこじ開け、まずい(でも栄養価の高い)ネコ缶を押し込んだり、注射器で牛乳を飲ませるのです。(苫のイヤそうな顔をご覧ください!)
猫の白血病は猫エイズとならび治療方法がない不治の病です。
苫はすでに末期状態で、血液がとても薄く、極度の貧血状態とのこと。
本来ならばきれいなピンク色のはずの口の中や肉球なんてまっ白です。
正常な血液を作り出す機能が侵されているのですね。
食べないので栄養失調で脱水状態だけど、栄養剤の点滴は血液をかえって薄めてしまうので使えません。
春くんの見込みではひと月は持たないだろうということでした。
年を越えられるかどうか、というところ。
こうなりゃ、たっぷり甘えさせてやって、嬉しい思いをさせて見送るか、とみんな覚悟を決めていました。
ところが、苫はもともと頑丈な猫らしいです。
母さんの言う「先が真っ暗なむなしい作業」の甲斐もあって(?)一緒に年を越すことができました。
それでも、いつしか缶詰は受け付けなくなって、一度に飲ませることのできる牛乳の量も減り、日に日に悪くなっている感じがありました。
それでも母さんは母親ですから絶対にあきらめません。
そんな母さんを見て、先週の金曜日、春くんが「気休めだけど・・・」といって、ステロイドを入れた点滴をしてくれました。
そして昨日。
ホスピス(サトコの部屋)の戸を開けたら「オイラ、外に行く。」と言って苫が出てきました。
少し元気になったなと嬉しくなり、いっちょワガママを聞いてやろうと思って、苫を抱いて1階まで降りて猫の食卓にのせてやったんです。
そしたらさぁ、カリコリを食べ始めたんだよ・・・!!!
サトコは初め目が点になり、次になぜか異常にパニクって「と、とりあえず写メール!」とワタワタしてしまった。
母さんはまた久が原に出かけていたんだけど、帰りの首都高でそのメールを見たらしいよ。 おまわりさ〜ん!
春くんは「まっさかぁ〜!」ですって。
魅駆にも劇的に効くステロイド。
「死にかけ」が「死に損ない」ほどに回復するなんて、確かにバツグンのドーピング効果です!
苫は元気になりかけていますが、白血病のキャリアであることは変わりがありません。
この先どういう治療ができるのか、どのくらい未来が明るいのか、サッパリわかりませんが、
まぁ、ともかくその時その時で一番良さそうな手を打っていきましょう。
この病気は猫にしかうつらないそうですが、猫同士ではエイズよりも感染しやすいんだって。
他の猫さんたちには春くんがワクチンを打ってくれました。
いまのところバタンキューした子はいないので、安心しています。
(2006.01.15サトコ)